古代王権と難波・河内の豪族
前田晴人著


本書所収の諸論文は、大阪に生まれ育った著者が文字通り故郷の古代地域史を究明するという意図の下に書き貯めた作品群から成り、難波・河内に本拠地を構えた古代氏族や豪族の実体、その由来や活動の歴史、難波・河内の開発の事情、本地域に所縁のある神話と伝説などを、古代王権成立史との関連性を絶えず考慮しながら論じたものである。古代難波の開発と歴史・古代難波の神話と伝説・古代河内の開発と豪族の三部構成からなる本書は、単なる地域史にとどまらず、日本の古代王権の形成史となっている。


■本書の構成

序論

第1部 古代難波の開発と歴史

第1章 古代難波の開発と豪族と王権
第2章 人名からみた古代の難波
第3章 難波津と海の王権祭儀

第2部 古代難波の神話と伝説

第1章 神功皇后伝説の形成と住吉大神
第2章 大帯日売神話の成立とその意義
付論1 『古事記』と帝紀・旧辞
付論2 応神天皇虚構論
第3章 王権神話としての一寸法師
付論3 「一寸法師」の宗教的空間構造

第3部 古代河内の開発と豪族

第1章 雄略王権と大伴氏の本拠地
第2章 河内三野県主の服属儀礼について
第3章 古代河内の反乱伝承と三野県主
第4章 河内三野県の古墳分布とその意味
第5章 額田部連の系譜と職掌と本拠地
第6章 河内国『丹比郡』の成立過程



前田晴人(まえだ はると)……1949年大阪市生まれ 神戸大学大学院文学研究科修士課程修了 大阪府立登美丘高等学校教諭(書籍刊行時に掲載のものです)




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大阪経済法科大学 河内学研究会 編 「河内学」の世界



ISBN4-7924-0487-8 (2000.4) A5 判 上製本 400頁 本体10,000円
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。