近世近代の地域社会と文化
ョ 祺一先生退官記念論集刊行会編




西日本を題材に地域の文化性を明らかにする

ISBN4-7924-0551-3 (2004.3) A5 判 上製本 640頁 本体13,500円
■本書の構成
第T部 地域支配と村落構造
紀伊国高野山寺領における初期検地―元和期に行われた地詰・検地の位置づけ― 前田正明(和歌山県立博物館主査学芸員)
城付かわた村の政治構造―頭仲間と村肝煎仲間― 藤本清二郎(和歌山大学教育学部教授)
近世夙村の複檀家制 藤井寿一(社団法人和歌山人権研究所研究員)
近世農村社会と武具をめぐる覚書 吉村豊雄(熊本大学文学部教授)
近世石見における地主制の特質 阿部英樹(中京大学経済学部助教授)
近世後期地域市場の一断面―瀬戸内一村落からみた地域市場― 中山富広(広島大学大学院教育学研究科助教授)
近世後期大和における村方地主経営の展開―式上郡辻村助右衛門家の分析― 谷山正道(天理大学文学部教授)

第U部 地域社会と宗教・学問
広島藩儒頼聿庵の事跡について 荒木清二(広島県立歴史博物館主任学芸員(頼山陽史跡資料館駐在)
近世後期における神職の専業化志向と蔵書形成―芸州山県郡井上家を例として― 鈴木理恵(長崎大学教育学部助教授)
旅する文人・学者の郷学訪問―岡山藩の郷学・閑谷学校の場合― 定兼 学(岡山県文書館整備推進班主幹)
平田篤胤と「俗神道家」の間―神道講釈師玉田永教を事例として― 引野亨輔(日本学術振興会特別研究員(PD))
近世社会と性的身体の変容―肉体と色恋のジェンダー配分― 片岡 智(離島問題研究者)
近世末期安芸国北部地域における「石見神楽」の受容―安芸国山県郡壬生村神主井上氏を事例として― 六郷 寛(広島県山県郡千代田町教育委員会職員)
明治初期長州(山口)藩の教育政策 小川亜弥子(福岡教育大学助教授)

第V部 地域社会と生活文化
藩の渇水対策と雨乞い躍り―雨乞いにみる藩と領民― 北尾泰志(鳥取地域史研究会)
近世広島の猪と豚 佐竹 昭(広島大学総合科学部教授)
散髪脱刀令の成立過程と近代社会 三澤 純(熊本大学文学部助教授)
地域における文明開化の位相―出雲地方の散切頭を事例に― 勝部眞人(広島大学大学院文学研究科助教授)
明治改暦と新暦の浸透過程 三宅紹宣(広島大学大学院教育学研究科教授)
移民送出の構造―彦根のカナダ移民を事例として― 布川 弘(広島大学総合科学部助教授)
明治期尾道豪商の人脈形成と企業家・名望家活動―橋本吉兵衛「海鶴堂日記」の研究― 西向宏介(広島県立文書館副主任研究員)
日清戦後期から戦間期における地方銀行と地域経済―備後銀行を事例として― 石本正紀(広島市郷土資料館学芸員)
明治・大正期における地方名望家の贈答―香川県佐野家の中元・歳暮― 棚橋久美子(広島大学研究生)

刊行にあたって
 「地域の時代」と叫ばれてきたにもかかわらず、近年のグローバリズムの急激な進展によって、かえって地域性を弱めていく結果がもたらされてきたように思われる。これから地域はどうなっていくのか、地域の輝きを取り戻し創造していくためにどうすればよいのか……。そうした問題へのアプローチの一つの方法は、地域の歴史性・精神性・文化性を明らかにしていくなかから糸口を探るということにあるのではあるまいか。
 本書は、主として西日本各地域を分析の俎上に乗せ、地域のあり方ないしその生活や行動様式を含む広い意味での文化性を明らかにしていこうとするものである。その構成は、支配と地域のあり方を中心に分析を加えた第一部、思想・教育・学芸など精神文化のあり方を中心に分析を行った第二部、生活ないし行動様式など広い意味での生活文化にスポットを当てた第三部という三部からなっている。
 本書の各論文は、広島大学大学院文学研究科教授 ョ 祺一先生のご退官に際して、先生とともに共同研究を行った者もしくはOB・卒業生で先生を敬慕する者のうちから、今回の呼びかけに応ずることのできた気鋭の研究者によって執筆されている。いずれも、新しい視角から研究水準を引き上げた好論である。

ョ 祺一先生退官記念論集刊行会
世話人 三 宅 紹 宣
佐 竹  昭 
勝 部 眞 人
中 山 富 広
※上記のデータはいずれも本書刊行時のものです。