群集墳と終末期古墳の研究
安村俊史著


大和への入り口である河内をフィールドに、群集墳と終末期古墳の研究から、いつ・なぜ古墳がなくなったのか。4〜6世紀の墓制の変化とその意義を読み解く。



本書の構成

序 章 群集墳と終末期古墳

第T部 群集墳の成立と展開

第一章 横穴式石室の導入
第二章 高井田山古墳の意義
第三章 平尾山古墳群の成立と展開
第四章 河内の群集墳

第U部 横穴の伝播と展開

第一章 高井田横穴群
第二章 安福寺横穴群と玉手山東横穴群
第三章 横穴の伝播と展開
第四章 高井田横穴群の線刻壁画
第五章 装飾古墳の分布と伝播

第V部 終末期古墳の展開

第一章 終末期群集墳の一形態
第二章 終末期群集墳の特質
第三章 火葬墓を内包する終末期群集墳
第四章 群集墳と横口式石槨
第五章 河内の終末期古墳再検討
第六章 終末期古墳の展開

終 章 六〜七世紀の墓制の変化とその意義

  
遺跡名索引


  ◎安村俊史(やすむら・しゅんじ)……1960年大阪市生まれ 大阪市立大学文学部卒 現在、柏原市立歴史資料館学芸員・文学博士


ISBN978-4-7924-0659-2 C3021 (2008.11) A5 判 上製本 408頁 本体9200円
持続する意志
大阪市立大学大学院教授 栄原永遠男  
 本書の著者安村俊史氏は、学部卒業と同時に柏原市教育委員会に就職した。以来四分の一世紀以上、いっかんして柏原市域において調査・研究をつづけてきたことは、おもえばまことに幸運なことであった。
 この地域には、初期の横穴式石室をもつ高井田山古墳、全国最大規模の群集墳である平尾山古墳群、また大規模な高井田横穴群、多くの終末期古墳が分布し、本書の主題である群集墳と終末期古墳を研究する絶好のフィールドであることは、いうまでもない。安村氏は、この地域にしっかりと根をおろし、地道に調査・研究をつづけてきたのである。
 しかし大切なことは、安村氏が、この地域だけにとじこもらずに、この地域から得た問題関心をいだいて、つねに畿内あるいは全国を凝視しつづけてきたことである。そのことこそ、本書を、たんなる地域史研究ではなく、まさに『群集墳と終末期古墳の研究』たらしめている大きな理由である。
 安村氏は、発掘調査報告はかならずその年度中に刊行することをモットーにして、多大な努力によってそれを実行してきた。これはなかなかできることではないが、その背後に、調査・研究の成果を市民に還元するという強い思いが存在した。市民への還元は、良質のものでなければならないが、それは良質の調査・研究によってはじめてなすことができる。良質の調査・研究が良質の還元を保証し、良質の還元のために良質の調査・研究がうながされるのである。
 わたくしは、本書の内容に、この相互作用の一つの典型をみる思いがする。本書は、著者の強固な持続する意志の良質の結晶であるといえよう。

 
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。