近世服忌令の研究(きんせいぶっきりょうのけんきゅう)
−幕藩制国家の喪と穢−
林 由紀子著


本書は、近世服忌令を包括的体系的にはじめて解明する。その前史、近世幕府の服忌令の成立、その内容と適用、その意義と特質、また諸藩における服忌制度と、近世服忌についての全ての側面を全面的にかつ克明に論述している。服喪から触穢思想の影響を受けて展開された服忌の制度の近世的な完成として幕府の服忌令を位置づけた本書は、家族法史、政治史、思想史などの多方面にわたって、近世を論ずる場合に避けて通れない基礎的文献である。


■本書の構成

1 近世服忌令の成立と変遷

第1章 江戸幕府服忌令前史 ―貞享元年前の服忌―
第2章 江戸幕府服忌令の制定公布と清め規定

2 幕府服忌令の内容と服忌書

第3章 服忌書の成立と系統
第4章 江戸幕府服忌令の内容と解釈 ―その総則的規定―
第5章 服忌令から見た近世の親族関係 ―とくに嫁と舅姑について―

3 幕府服忌令の意義と特質

第6章 江戸幕府服忌令の特質 ―新井白石と林信篤の論争を手がかりとして―
第7章 服忌令の適用と幕府服忌令の意義

4 藩における服忌

第8章 臼杵藩における服忌令とその改正について
第9章 金沢藩の服忌書について
第10章 金沢藩の服忌制度 ―幕府法とのかかわりにおいて―

5 付論

第11章 尾張藩神官の服忌令研究 ―吉見幸和の「類聚服假令拙解」その他について―




林 由紀子(はやし ゆきこ)……1937年名古屋市生まれ 名古屋大学大学院法学研究科博士課程単位修得 愛知女子短期大学教授(書籍刊行時に掲載のものです)



ISBN4-7924-0436-3 (1998.2) 品切
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。