近世の生活文化史
−地域の諸問題−
定兼 学著


著者は、従来の近世史における諸見解を批判的に継承し、政治・生業・生活文化の三側面から、備前備中地域を対象として近世地域社会の特質を捉える。その手法は一村落をこえた地域社会に注目し対象地域の歴史過程を全生活面にわたって多面的に考察するというものである。まず民衆の生活文化をリードした村役人の性格の分析、ついで農村地域、漁村地域と都市民衆のそれぞれの生活文化を多面的に明らかにした近世生活文化史の新たな成果である。


■本書の構成

序章

第1章 地域と村役人

第1節 地域支配と村役人集会 ―岡山藩における地域形成の一側面―
第2節 村役人選任をめぐって ―岡山藩における村役人仲間形成の前提―
第3節 大庄屋の就任条件と役務 ―幕末期岡山藩の大庄屋制―
第4節 女庄屋「お千」をめぐって ―近世前期備中真鍋島の「庄屋」―

第2章 農村地域の生活文化

第1節 農村景観と住民
第2節 用水をめぐる生活
第3節 儀礼と信仰

第3章 漁業地域の生活文化

第1節 漁業支配と漁民
第2節 干拓と漁業問題 ―村と村連合の漁場所持機能―
第3節 島の生活文化 ―備中真鍋島における―
第4節 漁場利用の地域秩序 ―備前日生沖漁業相論を事例として―

第4章 都市民衆の生活文化

第1節 都市祭礼と民衆 ―城下町岡山の参集規制と東照宮祭礼―
第2節 商人の相続 ―十八、十九世紀倉敷商人の相続紛争から―

第5章 地域民衆の教育・文化活動

第1節 民衆の教育活動
第2節 地方文人の活動

終章




定兼 学(さだかね まなぶ)……1957年岡山県に生まれる 広島大学文学部史学科卒業 岡山県総務学事課文書整備班(書籍刊行時に掲載のものです)



ISBN4-7924-0479-7 (1999.8) A5 判 上製本 550頁 本体13,000円
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。