■熊野の集落と地名 | |||||
−紀南地域の人文環境− | |||||
桑原康宏著 | |||||
本書は熊野地方の地理学的特性の成り立ちを丹念に論証したもので、著者が現地に在住している強みを生かして多くの在地資料を利用した説得力のある論考からなる。第T部では熊野の地形的特色や交通路および歴史的環境に育まれてきた町や村の規模・形態の特色を明らかにしている。第U部では藩政村の研究を、第V部は明治22年の田辺大水害の被害とその後の復旧を扱った論考。第W部は熊野地方独特の地名の分布とその考証を行っている。 ■本書の構成 T 熊野街道と集落 1 熊野街道の地形と集落景観の変遷 2 藩政時代の熊野街道の伝馬所 3 伊能忠敬の熊野測量行 4 熊野街道という地名 ―西国道・巡礼道と道標をもとに― U 近世の紀伊半島南部と領域 1 紀伊半島南部の近世集落の分布と変遷 2 紀州藩における田辺領・新宮領 ―支藩領の歴史地理学的考察― 3 田辺城下町の概観と田辺与力の屋敷・知行地の特徴 4 東西牟婁郡の成立と若干の背景 V 明治二十二年大水害とその影響 1 明治二十二年大水害の概要 2 明治二十二年の大水害後の屯田兵募集 ―目良謙吉入地紀行の周辺― 3 明治大水害新史料の紹介と若干の検討 4 明治大水害が覗機関(のぞきからくり)絵に W 熊野の地名雑記 1 和歌山県南部の地名分布 ―とくに垣内・ウイ・平見・平を中心に― 2 その後の「ウイ」地名 3 和歌山県の『町』の呼称について 4 「南紀」と「紀南」 5 大辺路、中辺路の呼称・再考 6 「ナダ」地名 ―熊野灘と枯木灘の範囲を中心に― 7 紀州白浜の地名由来 8 「鹿島」地名考 9 マナゴ「真砂」は交通地名といえないのか? 10 地名としての「会津川」 桑原康宏(くわはら やすひろ)……1944年和歌山県田辺市生まれ 和歌山大学教育学部卒業 現在、和歌山県立田辺商業高等学校教諭として勤務中(書籍刊行時に掲載のものです) |
|||||
ISBN4-7924-0486-X (1999.12) A5 判 上製本 360頁 本体9500円 | |||||
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。 |