近世後期経済発展の構造
―米穀・金融市場の展開―
加藤慶一郎著


著者は、米穀市場と金融市場の展開過程が近世後期の経済活動のあり方を如実に反映しているとみて、両市場の動向を丹念に追究している。米穀市場をとりあげた第T部では、機能変化や構造変動の様相が究明され、大坂米市場の相対的地位の低下と求心力の喪失が析出されている。第U部では、頼母子講、村借用制度などの在方に基盤をおいた金融制度・組織に焦点があわせられ、重層構造をもつ有機的資金流通網が近世後期の在地金融市場には広域的に構築されていたことが析出されている。


■本書の構成

序論

第1部 近世後期における米穀市場の展開

第1章 米穀流通機能の特質―大坂堂島帳合米商内の価格保険機能を中心に
第2章 大坂米価の形成過程
第3章 酒造米市場の構造変動

第2部 近世後期における金融市場の展開

第4章 頼母子講の展開状況―江州日野・中井源左衛門家を中心に
第5章 頼母子講と商品流通―安芸国豊田郡御手洗町を中心に
第6章 農村金融市場の構造―三河国八名郡馬越村を中心に

結 語




加藤慶一郎(かとう けいいちろう)……1964年兵庫県生まれ。神戸大学大学院経済学研究科博士課程後期課程単位取得。現在、流通科学大学商学部助教授。



ISBN4-7924-0504-1 (2001.5) A5 判 上製本 200頁 本体4200円
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。