旧版に補章を添え、新組みにて再刊する。第1部は、上代日本語における母音交代のすべての形を一つの見地から分析し、性質的に異なる二つの種類に整理する。第2部は、前記の二種の母音交代の相互関係、つまり音形態の関係的な次元から、活用という意味の世界がどのように成立するかを説く。それは、上代日本語のいわゆる活用の現象を統一的に解釈するものであるとともに、より広く、体・用・相ということばで尽くすことのできる日本語品詞の理論である。
■第1巻 目次
序説 母音の変―意味と形についての序説―
第1部 前活用としての母音交代
はじめに
第1章 交代の結合的性格
第1節 男性母音相互の交代
第2節 母音の体制的交代―女性母音Öの交代―
第3節 母音交代の体制内構造
第4節 母音体制の連続
第5節 母音交代と意味 その1
第2章 交代の強弱的性格
第1節 iをめぐる交代
第2節 Ïの位置―iをめぐる交代(二)―
第3節 母音交代と意味 その二
体制間的及び体制内的母音交代一覧
イを環境とする母音交代一覧
イをめぐる母音交代一覧
二音節(語)母音構造一覧
■第2巻 目次
第2部 活用の構造
はじめに
第1章 体の活用
第1節 名詞の弱活用(一)
第2節 名詞の弱活用(二)
第3節 名詞の強活用
第4節 名詞性或は名詞活用の成立
第2章 動詞性或は動詞活用の成立
第1節 前動詞的形状言
第2節 動詞活用の成立
第3章 独立化《i》の問題
第1節 語幹末尾母音―一つの限定
第2節 形状言における動詞的傾斜
第3節 独立化《i》の問題
第4章 用の活用
第1節 動詞終止形の成立と連体形
第2節 動詞の活用系列的連合
第3節 已然形の成立
第5章 用の活用
第1節 述定述語としての形容詞
第2節 装定述語としての形容詞
第3節 副詞の活用
第6章 ありな
第1節 靡・靡伏とその一統
第2節 助動詞のラ行要素
補 章
第1節 動詞の行―或る助動詞への条件
第2節 動詞活用の史的展開
索引/後記
川端善明(かわばた よしあき)……1933年京都市に生まれる 京都大学大学院(文学研究科国語国文学専攻)修了 大谷女子大学教授・京都大学名誉教授(書籍刊行時に掲載のものです)
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