■軍記と室町物語 | |||||
池田敬子著 | |||||
『平家物語』の清盛・重盛・宗盛・重衡・維盛・建礼門院らの人物造型を、本文の表現から的確に把握しながら覚一本の見取図を描ききる第T部。最近の八坂系諸本研究の先駆的諸論を配する第U部は『応仁記』の論をも含んで、室町期への眼差しを第V部へと向ける。室町物語の異本編集の分析は、関連する軍記と説話世界をつないで編集現場を垣間見させる。第T部の維盛論の傍らに「三人法師」を論じて仏教的精神史が示唆され、第V部では『太平記』の解釈が室町物語から逆照射されるなど、『軍記と室町物語』の書名にふさわしい魅力の一冊。 ■本書の構成 1覚一本『平家物語』の構図と人物造型 悪行の道程―清盛 ゆゆしく大様なる人―重盛 頼朝の物語 「おとりたるもの」こそ「うたてけれ」―宗盛 悪人往生―重衡 優にやさしき人―流布本の造形/悪人往生―覚一本 心弱き人の往生―維盛 「心のほそき」考―「三人法師」 女院に課せられしもの―灌頂巻六道譚考 覚一本の選択―二位尼と二つの遺言 2断絶平家型『平家物語』諸本の本文形成 平松家本『平家物語』について 両足院本『平家物語』本文小考 八坂系諸本における巻十二 城一本『平家物語』の本文形成について 『保元物語』諸本の意図―末尾三章段考 「花の洛」と「野馬台詩」―一巻本『応仁記』 『応仁記』の成立と諸本 3室町物語の編集と軍記 「横笛草子」本文の流動 弁慶像の展開―京大本『弁慶物語』 「天竺・震旦物語の事」の意味するもの―『太平記』と室町物語の間 「しゆてん童子」の説話 池田敬子(いけだ けいこ)……1948年生まれ。京都大学大学院文学研究科国語学国文学専攻博士課程単位取得退学。京都府立大学文学部教授。 著者の関連書籍 説話と説話文学の会編 説話論集 1〜18集 |
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ISBN4-7924-1371-0 | (2001.10) | A5 判 | 上製本 | 454頁 | 本体10,000円 |