■たたら製鉄・石見銀山と地域社会 | |||||
近世近代の中国地方 | |||||
相良英輔先生退職記念論集刊行会編 | |||||
世界遺産・石見銀山をはじめ、 中国地方の歴史的魅力を縦横に描く 本書の構成 序文 第一部 たたら製鉄と地域社会 近世後期松江藩におけるたたらの生産と流通…相良英輔 松江藩領神門郡における田儀櫻井家の鉄山経営…山崎一郎 十七世紀後期〜十八世紀前期を中心に たたら製鉄と備後炭の出雲・伯耆流通…佐竹 昭 幕末・明治期における鉄山経営…高見誠司 卜蔵家を中心に 明治初期における鉄山経営の推移…鳥谷智文 家嶋家・絲原家を中心に 明治期鍛冶屋山内の構成と系譜…加地 至 第二部 石見銀山と地域社会 江戸時代鉱山町の特質…和田美幸 江戸中期における石見銀山の支配と経営について…仲野義文 石見銀山領における掛屋についての一考察…藤原雄高 石見銀山領の社会階層別の出生率と結婚率…廣嶋清志 真宗の出生率は高いか? 明治初期旧石見銀山領における森神信仰…山崎 亮 数量的把握の試み 第三部 地域社会と産業・交通 明治前期における中国山地の地主小作関係…中山富広 士族授産の一考察…落合 功 広島県同進社を例にして 近代日本における地域漁業問題と漁村経営…伊藤康宏 島根県簸川郡旧北浜村を事例に 日中戦時期における山口県玖珂郡下の産業組合…勝部眞人 山口県における陰陽連絡鉄道と油蔚航路計画…木村健二 第四部 地域社会と政治文化 近世中期の中国船対策と沿岸警備…岡本健一郎 松江藩の国益政策と旅人…小林准士 明治期神職の女性啓発活動…棚橋久美子 山口県宮本重胤の場合 山口県における立憲国民党の進出…重松正史 二人の農民作家の「出会い」…槇原 茂 エミール・ギヨマンと犬田卯 敗戦後の「地方総監及地方長官会議」・ 「地方長官会議」に関する覚書…竹永三男 近世絵図のデジタルコンテンツ化と活用技法…作野広和 相良英輔先生研究業績一覧 編者の関連書籍 相良英輔著 近代瀬戸内塩業史研究 本書の関連書籍 仲野義文著 銀山社会の解明 たたら製鉄に関する書籍 角田徳幸著 たたら吹製鉄の成立と展開 |
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ISBN978-4-7924-0640-0 C3021 (2008.3) A5 判 上製本 576頁 本体11,600円 | |||||
いま、山陰の歴史が注目を集め、それに応えるかのように歴史研究も活況を呈している。活力に満ちた山陰地方の歴史研究のなかでも、近世のたたら製鉄、石見銀山の研究はひときわ光彩を放っている。相良英輔先生は、つねにこの動きの中心にあって近世の出雲・石見の経済史研究を精力的に牽引してこられた。本書は、相良先生の学恩を受けた後学の徒が集い、地域史研究に新しい光を投げかけようとして生み出された。 本書は四部構成を取っており、とくに第一部「たたら製鉄と地域社会」、第二部「石見銀山と地域社会」は、単に島根県の地域史研究にとってのみならず、日本近世史研究にとっても画期的な意義をもつといってよいであろう。第一部、第二部に収められた諸論考は、経営の変遷を軸に、流通、人口など多様な視点をも取り混ぜながら、たたら製鉄、石見銀山に関する新たな知見を提示し、ひいてはこれらの産業が織りなす地域社会の特質にせまっている。 さらに、第三部「地域社会と産業・交通」、第四部「地域社会と政治文化」の諸論考は、中国地方を中心とする諸地域の社会構造、産業動態、政治空間・文化の変容などを、それぞれ斬新な視点から追究している。 このように、たたら製鉄と石見銀山に関わる研究を中核として、広く近世近代の中国地方全域に及ぶバラエティに富んだ本書の内容が、今後の地域史研究の新たな可能性を切り拓く一里塚の役割を少しでも果たすことができれば、と念願している。 |
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相良英輔先生退職記念論集刊行委員会 |