歴史ルポルタージュ島原天草の乱 全3巻
 吉村豊雄著



第1巻 百姓たちの戦争

四ヵ月にわたる一揆の過程を、幕藩領主側との武力による戦い、つまり「戦争」として描くとともに、島原天草地域の領主である松倉家・寺沢家の家臣が牢人となり一揆の企てに加わったという、知られざる一揆蜂起へのシナリオを明らかにする。一揆首謀者の企てが島原藩領・天草領での一揆、「百姓たちの戦争」へと展開していく歴史の深みを解き明かす。



■本書の構成

第一章 立ち帰りか、潜伏か――直前段階の転びキリシタン
  第一節 天草の島々の宗教社会状況
  第二節 島原藩領の政治社会状況


第二章 武力蜂起へのシナリオ
  第一節 一揆のシナリオ
  第二節 武力蜂起への過程


第三章 「城の占拠」をめざした百姓たちの戦い
  第一節 島原の合戦と城攻め
  第二節 天草の合戦と城攻め
  第三節 城の占拠


第四章 籠城のシステム

第五章 原城戦争

第六章 原城の落城


ISBN978-4-7924-1073-5 C0321 (2017.11) 四六判 並製本 300頁 本体1,900円



第2巻 原城の戦争と松平信綱

天天草島原の乱における原城攻防戦、原城戦争において、十三万近くの幕藩軍を率いて一揆を制圧した松平信綱。原城総攻撃における佐賀藩鍋島家の「抜け駆け」をめぐる戦後の軍功バトルの処理から中央政界のトップに上りつめるキッカケとなった政治的光芒を描く。本書では、これぞ「知恵伊豆」の真骨頂というべき政治舞台へいざなう。



■本書の構成

はじめに――戦場がつくった知恵伊豆

第一章 若手閣僚としての松平信綱

第二章 飛躍の舞台となった原城戦争

第三章 戦後政局の火種=幕府の原城評定

第四章 始まった知恵伊豆の政略

第五章 幕府抗争下の軍法裁判

第六章 江戸幕府 寛永の政変

おわりに――知恵伊豆という政治家



 ◎おしらせ◎
 『日本歴史』第839号(2018年4月)の新刊寸描コーナーで本書が紹介されています。





ISBN978-4-7924-1079-7 C0321 (2017.11) 四六判 並製本 156頁 本体1,500円



第3巻 潜伏キリシタン村落の事件簿

禁教を大原則とする江戸幕府のもとで、どうして潜伏キリシタンの村々が存続していたのか。島原・天草一揆から百六十余年を経ておこった日本キリシタン史上、空前の規模のキリシタン発覚事件、天草下島西海岸の潜伏キリシタンの村々が、幕府領の天草郡を預かる島原藩の探索・取り調べを受け、最終的に五千二百五人もの潜伏キリシタンが摘発されていく事件に分け入った史的ルポルタージュ。



■本書の構成

はじめに――摘発された五千二百五人

第一章 江戸初期から存続した潜伏キリシタン村落

第二章 潜伏キリシタン村落は、どうして発覚したのか

第三章 潜伏キリシタン村落に送り込まれた庄屋

第四章 庄屋のキリシタン探索日記

第五章 潜伏キリシタン村落の隠密たち

第六章 幕府に通報された六千人の潜伏キリシタン

第七章 ベールを剥がされた潜伏キリシタン村落の信仰

第八章 さらに出てきた潜伏キリシタンの村

第九章 改竄された潜伏キリシタン事件

おわりに――日常に戻った潜伏キリシタン村落


ISBN978-4-7924-1076-6 C0321 (2017.11) 四六判 並製本 228頁 本体1,800円


  
吉村豊雄(よしむら とよお)……1948年佐賀県生まれ、熊本大学名誉教授。博士(文学)専門は日本近世史。

『日本近世の行政と地域社会』(校倉書房)で第12回徳川賞(2014年)、『棚田の歴史』(農山漁村文化協会)で第36回熊日出版文化賞(2015年)を受賞。著書に『近世大名家の権力と領主経済』『幕末武家の時代相—熊本藩郡代 中村恕斎日録抄—』(ともに清文堂出版)、『藩制下の村と在町』(一の宮町)など。最新作に『天草四郎の正体』(洋泉社新書、2015年)がある。




  ◎朝日新聞全国版 文化の扉歴史編「天草四郎」は幻か でも本書が紹介されています(2017年11月12日)



  著者の関連書籍
  吉村豊雄著 近世大名家の権力と領主経済

  吉村豊雄著 幕末武家の時代相 上・下

  吉村豊雄・春田直紀編 阿蘇カルデラの地域社会と宗教




 
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。