祈りの造形
―紀伊国神々の考古学@―
菅原正明著


濃密な業績を残してきた考古学者である著者が、人はなぜ苦悩し、祈りに憧れるのかという本源的な問いかけから筆を起こし、道成寺・紀伊国分寺・金剛峯寺真然堂の発掘調査を通じて明らかにされた、それぞれの宗教施設の複雑な変転の歴史をていねいに、丹念に解き明かしている。著者の視点は、間違いなくかつて生き、苦しみ、救いを求めて祈り続けた幾多の人々にそそがれていることが、鮮烈に胸裡にせまってくる。


■本書の構成
1祈りの風景

仏教が大陸から伝えられる以前
仏教伝来
『日本霊異記』の世界
祈りの変容

2仏への熱い眼差し―道成寺本堂千手観音に託した救済

道成寺本堂の保存修理
本堂の中近世瓦
道成寺旧伽藍の発掘調査の経緯
出土遺物
よみがえる道成寺

3仏の救い―紀伊国分寺本堂薬師如来に捧げた祈り

国分寺の成立
紀伊国分寺の造立
紀伊国分寺跡の発掘調査
出土遺物
よみがえる紀伊
国分寺本堂

4祖師への憧憬―金剛峯寺真然堂基壇下発見の緑釉四足壺に秘められた高野山の歴史

真然堂
基壇の発掘調査
真然大徳
緑釉四足壺に秘められた高野山の歴史




菅原正明……1942年山形県生まれ。明治大学大学院修士課程文学研究(考古学)修了。和歌山県立博物館副館長。




紀伊国神々の考古学 全三巻
久遠の祈り―紀伊国神々の考古学A―

祈りの姿―紀伊国神々の考古学B―



ISBN4-7924-0506-8 (2001.10) A5 判 上製本 224頁 本体2900円
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。