熊野水軍のさと
紀州安宅氏・小山氏の遺産
高橋 修 編


雄々しく戦った海の男たちのドラマが眠っている「熊野水軍のさと」。熊野水軍の成立から末路にいたる歴史の流れを叙述し、関係する遺跡や文化財を分野・テーマごとに紹介する。


本書の構成

序 章 いま、よみがえる「熊野水軍のさと」

第T部 熊野水軍の中世史

第一章 熊野水軍かく戦えり その一
  熊野水軍前史/別当湛増と戦う海の男たち/「敵は幕府・北条氏!」立ち上がった熊野海賊/ほか
第二章 熊野水軍かく戦えり その二
  安宅荘殺人事件!そのとき家来たちは?/「安宅船」は安宅氏の軍艦か?/山の中の熊野水軍?/ほか

第U部 熊野水軍のさとへ

第三章 水軍の城
  湊を守る八つの城塞「安宅荘中世城郭群」/八幡山城跡を訪ねて/安宅八家衆と淡路島の城/ほか
第四章 水軍のさと、祈りのさと
  水軍のさとの古代の仏たち/最古の銘文を刻んだ備前焼と沈没船の謎/「無縁墓地」に眠る熊野水軍/ほか
第五章 まだまだあるぞ! 熊野水軍のさと
  熊野水軍・本拠の風景/天空のさとの熊野水軍/那智執行として、問丸として/ほか
終 章 ようこそ! 熊野水軍のさとへ


  おもな執筆陣
  高橋 修
  大河内智之/海津一朗/北野隆亮/白石博則/杉浦弘子/高木徳郎/額賀大輔/早川 圭/藤井弘章/綿貫友子  
(50音順)




 編者の関連書籍
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ISBN978-4-7924-0661-5 C0021 (2009.2) 四六判 上製本 226頁 本体2800円
東西の架け橋、熊野水軍のさと 紀州安宅氏・小山氏の遺産
東京都立大学名誉教授・安宅荘中世城郭発掘調査委員会委員長 峰岸純夫  
 紀伊半島の南端近く、日置(ひき)川という小河川の流れ下る下流域(白浜町日置川地区)に中世では、河口に安宅(あたぎ)氏、その上流に小山(こやま)氏という二つの武士団が平和的に共存し、ともに水軍を組織して瀬戸内海と東海地域を結ぶ海上交通の拠点を構成していた。日置川の東西に沿って山城が構築され、河川が開析し小平野部には集落が形成され館や寺院が立地していた。
 この地域は、以前から熊野水軍(安宅・小山水軍)の拠点、として注目され、また東西交通の架け橋をなす流通の結節点として注目されていた。それ故、長期にわたる調査研究が行われ、その成果がシンポジウムなどによって次々に公表されて世に問われてきた。本書はそれらを総括するもので、文献、考古学的発掘、城郭、美術などの学際的成果を総まとめした最先端の文献といえるものである。

 
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。