和歌の浦 その原像を求めて
和歌山大学フィールドミュージアム叢書3
和歌山大学 紀州経済史文化史研究所編




再評価される、1000年の景観の地
和歌の浦の歴史と文化


■本書の構成
口絵……和歌浦図屏風
序言……上村雅洋

第一編 紀ノ川河口デルタと和歌の浦

和歌浦周辺の遺跡と遺物から見えてくるもの……前田敬彦
万葉の和歌の浦……村瀬憲夫
『うつほ物語』の吹上と『源氏物語』の和歌の浦……金田圭弘

第二編 祭祀と芸能の風景

天野社・日前宮と玉津島……伊藤信明
惣国から和歌祭の風景へ……海津一朗
コラム●雑賀踊り……海津一朗
和歌祭御船歌を歌い継ぐ人びと……吉村旭輝

第三編 民衆に開かれた名所

「和歌名所記」の成立……須山高明
パブリック・ガーデンとしての和歌の浦と民衆……米田頼司




 和歌山大学フィールドミュージアム叢書1
 海津一朗編 中世終焉 秀吉の太田城水攻めを考える


 和歌山大学フィールドミュージアム叢書2
 和歌浦天満宮の世界



ISBN978-4-7924-0949-4 C0021  (2011.9) 四六判 並製本 222頁 本体1,900円
 和歌山大学紀州経済史文化史研究所が、和歌浦の研究に関係するようになったのは、一九八八年に新不老橋の建設計画が持ち上がり、和歌浦周辺の学術的研究が求められたのを契機としている。二〇〇六年は、和歌浦天満宮が浅野氏の再建から丁度四〇〇年目に当たり、和歌浦天満宮と共催で企画展を開催することとなった。展示に当たっての調査で、多数の宝物を確認し、それらを「和歌浦天満宮展」として、研究所の展示室と和歌浦天満宮の両会場で公開した。さらに、「フィールドミュージアム叢書A」として『和歌浦天満宮の世界』(清文堂出版、二〇〇九年刊行)を公刊した。
 その後も和歌浦研究は本研究所の一つの柱として続けられ、二〇一〇年一一月には、和歌浦地区会館で公開研究会を開催し、中世和歌浦と雑賀惣国、和歌名所記、和歌祭御船歌の報告がなされた。いずれもこれまでの和歌浦研究の空白部分を埋める研究であった。
 本書は、これまで紀州経済史文化史研究所が行ってきた和歌浦に関する研究成果を世に問うものである。とりわけ公開研究会での報告を踏まえ、考古学、文学、歴史学、民俗学、社会学などの多面的な視角から和歌浦を分析しようと試みた。タイトルは、「和歌の浦 
その原像を求めて」として、和歌浦を取り巻く歴史的な環境を重視した。内容的には、歴史的展開にも配慮し、「紀ノ川河口デルタと和歌の浦」、「祭祀と芸能の風景」、「民衆に開かれた名所」の三編に分け、和歌浦の意義を再評価した。
 こうした研究所の和歌浦に関する一連の研究活動も一因となり、「和歌の浦」として玉津島神社、塩竈神社、妹背山海禅院多宝塔、観海閣、三断橋、不老橋などを含めた和歌の浦の干潟、片男波、妹背山、鏡山、奠供山を中心とした範囲が、国の名勝に指定され、和歌浦研究がますます重要度を高めて行くこととなった。


 
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。