■日本古代銭貨研究 | |||||
栄原永遠男著 | |||||
出土銭貨から読み解く、いにしえの姿 あいつぐ新発見資料の成果を盛り込んだ決定版 ■本書の構成 第一部 日本古代銭貨研究の視点 第一章 日本古代銭貨研究の課題/第二章 貨幣構造とその変遷/第三章 東大寺伎楽面の墨書 ―和同開珎のよみ― 第二部 日本古代銭貨の流通実態 第四章 飛鳥池遺跡からみた七世紀後半の銭貨/第五章 日本古代国家の銭貨発行 ―富本銭から和同開珎へ―/第六章 日本古代の銭貨流通/第七章 日本古代銭貨の流通と普及/第八章 徳島県内出土の日本古代銭貨 第三部 鋳銭司と鋳銭管理システム 第九章 鋳銭司の組織と生産体制/第一〇章 延喜式における鋳銭管理システム 第四部 日本古代銭貨の呪的性格 第一一章 銭は時空をこえる ―古代銭貨の境界性―/付 銭貨を献ずる心/第一二章 延喜式にみえる銭貨/第一三章 提供から見た銭貨の呪力 付章 国府市・国府交易圏に関する再論 ◎索 引 著者の関連書籍 栄原永遠男編 平城京の落日 |
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ISBN978-4-7924-0921-0 C3021 (2011.7) A5判 上製本 400頁 本体8,500円 | |||||
刊行にあたって |
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日本古代銭貨や貨幣の分野に関する前著『日本古代銭貨流通史の研究』(塙書房、一九九三年二月)を刊行したのは、今から一七年以上前のことであった。その前後から、わたくしは正倉院文書による写経事業の研究に傾斜の度合いを強めていき、この分野とはやや疎遠になっていた。 ところが、一九九八年末に、富本銭が西暦七〇〇年以前にさかのぼり、和同開珎より先行することが確定されるという発掘調査の大きな成果が発表され、それを契機に日本古代銭貨の研究は一気に活性化した。本書は、この状況に触発されて、その前後以降さまざまな機会に執筆した論文を集成したものである。 私事にわたって恐縮であるが、わたくしは二〇一〇年(平成二十二)三月末をもって大阪市立大学を定年退職した。これにともなって最終講義を行ない、つづいて退職記念パーティーも開催していただいた。両方とも、遠方からも含めてたくさんのなつかしい方々がお集まりくださり、忘れがたい思い出となった。これらの企画は、日本史学教室や実行委員会が立案し進めてくださったものである。その形が見えてくる中で、それまで日々当面することに追われているのをいいことに、気にしていなかったのだが、退職ということが意識にのぼるようになってきた。そして、これを機に自分の仕事をまとめておきたいと考えるようになった。当初は、四月二十四日のパーティーまでに間に合わせられると考えていた。しかし、しだいに、退職ということが思いの他かなりの気力と体力を要する力業であることが明らかになってきた。そのうち、この刊行予定はかなり無理であることが歴然としてきた。 一連の行事が終わったので、本書の再編集に取りかかった。ご批判をいただいて考えた点や、蒙を啓いていただいた点について書きあらためたり書き加えたりした。しかし、前後一〇数年にわたって書かれた文章は、かなり統一がとれていない。これらを一冊の本として体裁を整えるのに、かなりの時間を要した。 こうしてようやく刊行にこぎ着けることができた本書は、わたくしにとってやはり人生の一区切りを示す意味を持つ。退職後もさいわい大阪市立大学に特任教授として勤務することが認められ、これまでとさして変わらない生活をおくっているが、人生の新たな段階に入ったことはまちがいない。その始めにあたって本書を刊行できたことは、望外の幸せである。 |
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(本書あとがきより) |
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※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。 |