■藤堂高虎文書の研究 | |||||
久保文武著 |
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著者略歴 久保文武 (くぼ ふみたけ) 大正6年5月1日 現在の伊賀市上野東町に生れる 昭和16年 国学院大学高等師範部卒業 昭和29年 三重県立上野高等学校退職 昭和54年〜平成1年 奈良大学非常勤講師 昭和40年 上野市文化財専門委員 平成8年 三重県教育功労者として表彰される 平成11年 地域文化功労者として文部大臣表彰を受ける 平成13年 上野市特別市政功労者として顕彰される 平成16年6月26日 死去 著書 伊賀史叢考(昭和61年) 伊賀国無足人の研究(平成2年) 関連史料 高山公実録―藤堂高虎伝― 藤堂藩大和山城奉行記録―西島八兵衛文書― 公室年譜略―藤堂藩初期史料― |
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ISBN4-7924-0593-9 (2005.5) 品切 | |||||
待望の高虎文書の集大成 | |||||
三重大学教授 藤田達生 | |||||
藤堂高虎(一五五六〜一六三〇年)は、江戸時代を代表する名築城家として有名である。しかし外様大名でありながら幕閣並の実力者で、極言すると「家康に天下を取らせた智将」と言ってもよいほどの重要人物であるにも関わらず、あまり注目されることはなかった。その最大の理由は、関係史料の蒐集が遅れていたことにある。 このたび上野市古文献刊行会の監修により、昨年逝去された伊賀史研究の重鎮・故久保文武氏の遺稿をもとに、大著『藤堂高虎文書の研究』(以下、本書と記す)が刊行される。 高虎関係史料については、近年『三重県史 資料編近世編T』でまとめられているが、本書には新たな史料が追加されたばかりか、既に知られている史料についても、解読や年次比定などで新たな知見が加えられ、久保氏のきめ細やかな「註解」や「考証」まで付されている。まさに本書は、高虎関係史料集成の決定版といえるであろう。 本書の注目すべき点は多岐にわたるが、私の関心から二点のみご紹介したい。 まず久保氏ならではと言えるのが、高虎の花押・印判の類型と、数少ない直筆史料を明らかにされたことである。花押・印判については適宜写真を挿入しているし、直筆に特有で花押と見間違える「恐惶」のくずしを解読されたことは、さすがというほかない。 内容的には、慶長十四年(一六〇九)の駿府藤堂屋敷の普請と元和六年(一六二〇)の徳川大坂城の築城に関わる史料群によって、それぞれの実態がより一層明らかになったことを指摘したい。 駿府屋敷には、漆塗りや金箔が施された豪華な建物群が建ち並んでいたこと、大坂城の石垣については、角石をはじめとする大振りなものは山城国加茂村(京都府加茂町)や小豆島から、大石の隙間を埋める栗石は和泉国淡輪(大阪府岬町)から切り出されたことなどがわかる。 藤堂藩(藩庁津城・三十二万石)では、藩祖高虎を顕彰すべく『宗国史』『公室年譜略』『聿脩録』『高山公実録』などの精度の高い藩史が編纂されている。これらは、上野市古文献刊行会の皆さんの長年にわたるご研鑽によって、翻刻され出版されてきた。 本書の刊行をもって、高虎や初期藤堂藩の基本的史料は揃ったことになる。これによって、近世初期の政治史研究が飛躍的に高まることは間違いないであろう。 |
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※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。 |